ユカリーヌ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のユカリーヌのレビュー・感想・評価

3.6
【過去に観た映画】2015.4.12

最初は、その視点に戸惑うが、
慣れると主人公リーガンと同化してしまう。

架空の「バードマン」は、
ヒーロー映画だが、これは
ヒーローものではなく、哀しくせつない。
悲哀があるが、笑いがふくまれ、引き込まれて、愛しくなっていく。

架空の映画「バードマン」だが、それを演じるのが「バッドマン」の、マイケル・キートンという設定がトリッキー。

ワンカットで、撮るという綿密な準備に基づく技術力に、臨場感を感じる。
巨大な劇場の中、狭い通路をハンディカメラが動き回る。

映画界から来た主人公の舞台にかける意気込みは、空回りするが、アクシデントにより、
よい結果となっていく。

ブロードウェイに固執する女優、舞台の上こそがリアルという男優。
舞台は芸術で、映画を下にみる演劇評論家。
くせのある人間達からみあう。
息苦しいいさかい、舞台の緊張。

SNSを皮肉るも、舞台は動員し、話題になってこそ、成功か。

舞台人、映画人の意見が聞きたくなり、ラストについてを語りたくなる映画。

舞台の方が生で見ているのに、虚構に近く、映画はスクリーンを通してるのに、より現実味を感じるのも不思議。

そして役者は、虚構とリアルの狭間で、狂気と正気の境目を無くしていく。


●「キネマ旬報」4月下旬号は、「バードマン」特集。
ヒーローの栄光と転落。
ユカリーヌ

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