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爆走トラック'76のtakのレビュー・感想・評価

爆走トラック'76(1975年製作の映画)
2.9
 ちょっと社会派なテイストの70年代カーアクション映画。兵役を終えた主人公は、大型トラックを手に入れて、個人経営、一匹狼の運送業を始める。ところが禁制品の輸送を断ったことから、業界を牛耳る人々に狙われることになる。主人公と仲間が少人数で巨悪に立ち向かう・・というお話だ。

 運転手達に労働組合を作らせまいとする業界経営者側が、殺しはするわ警察を抱き込むわ、悪事の数々を働くのに対して、運転手側の抵抗は殴り込み。しかも愛する妻を傷つけられた主人公が、仲間率いて悪事を暴くスカッとするラストを期待したのに、やったことは建造物の破壊。妙に肩すかしをくらったような結末にちょっと呆然。

 しかし、オープニングとラストにテレビレポーターを登場させて、社会問題として描くところは面白い。70年代後半って、労働問題や社会悪に挑む題材を扱った映画がそういえば多かった気がする。サリー・フィールドの「ノーマ・レイ」、シルベスター・スタローンの「フィスト」、アル・パチーノの「ジャスティス」だとか。まぁ、この映画では中途半端ではあるけれど。トラック野郎たちの心意気は伝わってくるのもいいところ。そして、何よりもジャン・マイケル・ビンセントの若々しい魅力がこの映画の牽引役。名作「ビッグ・ウェンズデー」は78年なので、まさに人気上昇中の頃の作品だ。仕事をあてがう仲介業者の一人にスリム・ピケンズが登場。可哀相な最期をとげる。スピルバーグ監督初期の珍作「1941」で、日本軍に拉致されるホリー・ウッドおじさんを演じた俳優だ。ここでもどこかとぼけた雰囲気はそのまま。懐かしい顔が嬉しかった。
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