Yuki2Invy

刺青のYuki2Invyのレビュー・感想・評価

刺青(1984年製作の映画)
3.2
アイドル紅白歌手・伊藤咲子をヒロインに起用している一方で、谷崎原作の文芸的ロマンポルノでもあるという、一見ちょっと整合しなそーなコンセプト。ながらも、文芸的という部分の雰囲気は決してソコまで悪くない…とも思うのだね。ソコは流石の曾根中生と言っても好いのかも知れないし、伊藤咲子さんも映画初出演ながら(濡れ場も含めて)そこそこお芝居を頑張れているとも言えるだろうし、彼女以上に木之元亮がかなり頑張っているとゆーのも大きいのだろう、と感じる。

ただ「思ったより好く」出来ているとは言ったものの、実際に「好く」出来ている…とは必ずしも言い難いのもまた確かかと。文芸的側面でゆーと、今作の美意識とゆーか谷崎的耽美的要素としては何よりも「刺青」が重要なのだろうケド、コイツの出来(=要は肌に描いた画の出来)が残念ながら非常にテキトーで、実に興を削ぐのであるね(結果的には、あんまりコレを目立たせるというシーンも無いよーに思うし)。

もう一つ、濡れ場自体も少なめながら、とにかく挿入されるポルノシーンに脈絡が無いモノが非常に多くて、実に無理して捻じ込んでる感がハンパ無いのも(比較的マジメな文芸的ロマンポルノとしては)かなり痛いのですよね。ポルノ的に少しだけ面白いシーンとしては中盤の(コレも脈絡無い)SMシーンとかはそーなのだケドも、この場面で責められる女優が稀に見るクソブスなのも実に文芸的でなかったりするのですよ。前述どおり伊藤咲子さんの濡れ場自体はそんなに悪くはないし(少なくとも「可もなく不可もなく」レベルなのは確か)、沢田和美のソレも(前述どおりコッチは話の流れに乗っかれてないのは確かだケド)そこまで酷くはない、その意味ではポルノ的にもまるでポンコツとまでは言えないのでありますケドね。
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