MikiMickle

痴漢ドワーフのMikiMickleのレビュー・感想・評価

痴漢ドワーフ(1973年製作の映画)
3.5
1973年 デンマーク・アメリカ映画
監督 ヴィダル・ラスキ

ケンケンパをして遊ぶ三つ編みの少女(?)に近づく杖をついた小人症の男。彼は、動く犬のおもちゃを餌にして、彼女を家へとおびき寄せる。もっとおもちゃがあるよと…
穏やかなBGMが流れる中、男は少女の頭に杖を振りかざす‼ キャンキャンと泣き続けるおもちゃの犬。太鼓を叩き続けるピエロのおもちゃ。
この倒錯っぷりたるや‼ 少女の見た目は完全な大人‼服から透ける乳 首。彼女を白痴女性として演出したのか、少女だと問題があったのか。小人症の男が散歩させるおもちゃの犬は本当に犬のつもりであるのか。それらがわからないほどの、とにかく冒頭から不気味な倒錯感と嫌悪を感じる。

からの『THE SINFUL DWARF』という題名と男のどアップのイラスト。軽快だけれど薄気味悪いめちゃくちゃかっこいい音楽。暗闇で動く可愛らしいおもちゃたちの不気味さ… そんなオープニングからこの映画は始まる。ここからして、心わしずかみ‼ ここだけでも何度も見てしまったわ。最っ高に気味が悪くてかっこいい‼‼

さて、話変わって、若い売れない小説家夫婦がやっとのことで見つけた安い借家へ間借りする。
しかしそこは、その男と母が経営する宿だった。その親子は、誘拐した女性を監禁し、ドラッグ漬けにして売 春させていたのだ。
そして、若妻が次なるターゲットとして…


その小人症の男の名前はオラフ。
『シャイニング』の時のジャック・ニコルソンのような表情の狂気さがたまらなく良い‼最高

全編に表れる倒錯感。
顔に傷のある母は元ショーガール。ショーパブだった所に今も住み、今も友人1人を前に上手くない歌とダンスを披露する。その、歪んだ、決して美しくはない哀愁。笑いと悲しみと倒錯がごちゃ混ぜ。
息子は、ぬいぐるみに卑猥な動きをさせてニヤけ、夫婦の性生活を覗き、おもちゃを愛で、ニタニタと女性たちに薬を打つ……

この映画はもともと洋ピン映画として日本に入ってきたとか。昔のホラー作品ではよくある話なんだけど、この映画が本来どういったものかは未だ謎らしい。
ゆえにエロシーン多め。が、別にエロくはない。前半部分は長くて眠くなる。しかしながら、モザイクがかからないというのは褒めるべき所。当時この映画をDVD化して売り出した配給会社は拍手もの‼ ちなみに、監禁女性3人と若妻と犯人のばあさんの5人が披露。婆さん以外はなかなかの美乳。若い4人はこういう映画に珍しく、どの人も美人。婆さんの乳が出た時はホラーを感じた… 気が触れてる感じがして…

さて、中だるみするし、ストーリー的には今となってはそれほどは目新しいものではない。が、なぜだか魅力を感じる。やってる事も鬼畜なのだけれども、なんとも憎めない。なんだろうか。オラフと母ちゃんの哀愁がそう思わせるのかも知れない……

前衛的アートのような雰囲気もありつつ、でもおかしくて笑いも苦笑いもあり。絶妙なズレとバランスと、異様にマッチする音楽の素晴らしさとかっこよさと、チープさと丁寧さとで、これがカルト的人気があるのがよくわかる。ラストは、そうくるのか‼(笑)と。
倒錯と哀愁と小人とばばあとクマちゃんのぬいぐるみと女たち…… なんか、すごいものを見た。見れて本当に良かった。DVD欲しい。
ちなみに、痴漢は全くしません(笑)

特典映像。トラッシュマッシュビデオ司会で、柳下毅一郎さんと中原昌也さんとのオーディオコメンタリー。コメンタリーというか、荒い音声で雑談を聞いている感じで面白いw なんかぺちゃくちゃ食べてるしさw 中原さん曰く、「こんな映画を1人で見ているようなやつはアホだw」って……ですよね…w… 身にしみた(笑)
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