汽笛の音で目を覚ます

荒野の千鳥足の汽笛の音で目を覚ますのレビュー・感想・評価

荒野の千鳥足(1971年製作の映画)
2.5
オーストラリアの荒野を舞台に、酒とギャンブルによって、分かりやすく破滅に向かっていく男の話。

この作品を見た、かのマーティン・スコセッシは「凄まじいほど不快」と語ったらしい。内容はそこまで過激ということもないけど、確かに不快なシーンは多かったように思う。

話としては、とにかく主人公が立ち寄るブンダンヤバという田舎町のヤバさが際立っており、最初から思いっきり胡散臭いシーンばかり。そして、ことが起こってからはもう「あーあ」って言いながら主人公の破滅をただ眺める感じ。

だんだん周りや環境に取り込まれて、頭がおかしくなってくる主人公の様子はよく描けていた反面、個人的に全体を通してそこまでの意外性はなかった。あくまで想像の範囲の中で悪いことが起こっている感じなので、見応えとしてはもう少しぶっ飛んでるほうが好みだったかも。ただ、ラストまでの流れは皮肉がとても効いてる。

ちなみに、映画の中でカンガルーを殺すシーンがあるんだけど、実際にプロの狩猟の人がカンガルーを狩っている映像を編集している。つまり実際にカンガルーは犠牲になってるわけで、そこはちょっと70年代の倫理観を侮ってた。見てる最中はまさか本物だとは思わなかったので、話の中身よりもエンドクレジットでいちばん嫌な気持ちになった。これから見る人は注意だし、見たくない人はこのシーンは別に飛ばしてもいいと思う。