ゆずきよ

きみはいい子のゆずきよのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
3.5
フォローさせて頂いている方のレビューを読んで気になっていた作品。
実は今日仕事で良く無い事があって、気持ちが沈んでいた。
そういう時に何を観るのかって慎重になるもので、感想の良し悪しにも関わるし、観た後の気分も左右される。
そこでこの選択。わかってます。完全に間違えてるって。

物語は、理想はあるが現実的には上手くいっていない新人教師。ワンオペ育児で子供にもキツく当たってしまう主婦。認知機能が低下しつつあるもあまり自覚の無い老婆。
3人がそれぞれの苦悩を抱えていく中、少しのきっかけで、わずかではあるが歯車は回転する。
高良健吾に関しては、本当に大変な仕事だと思う。特に小学生の担任はね。
昨今の子供達は賢くもなっているし、親だって以前より情報を得る機会が多いので、厄介だと思う。
教師の権力も減っているわけだし。
私の親族に教師が多いので、悲しいくらい同情はしてしまった。
尾野真千子の件に関しては、後述しよう。絶対に長くなる。
喜多道枝は、あまりにもサブ的に扱われていて、もう少し掘り下げても良かったんじゃ無いかな。
認知機能低下の自覚ってめちゃくちゃ難しいテーマだと思うのだけれど、そこはサラッとしていて、障害児との交流って形にシフトしていたので、そこに関しては少し残念だった。
抱きしめられたいって文言に違わず、そこが上手いキーポイントとしてなっているのがとても良きでした。

さて、問題の尾野真千子の件ですが、彼女は今回過去に虐待を受けていて、自分の子供にも暴力をふるってしまうという役柄。
大前提として叱ると怒るは違う。
子育てにおいてこの事は、常に念頭の中央に座しておかないといけないのです。
ただ現実はそう上手い事はいかないもので、親だって人なのだ。感情がある。
子供が誕生した瞬間から全てを許し、慈愛に満ちた気持ちだけで生活出来る人はいない。
恥ずかしながら私も子供に対して苛立ちをぶつけてしまった事があります。
だからと言って、程度の問題は当然あるし、手をあげた事はありませんが。
その度に反省して、子供をごめんねと抱きしめるのだけれど、それだって結局は親が許されたいだけの自己満足だと言われてしまえばそれまで。
我が家の娘も、小さい時から「しっかりしているね」と言われていたが、それはもしかすると私達の教育が厳し過ぎたのかなと思う部分があったりもします。
彼女の場合は、夫が単身赴任中というのも関係していたんじゃないかな。
子供に対してどう頑張っても愛情が注げない人は一定の割合いるのだけれど、劇中の部屋の様子を見ている限り、彼女はそうでは無いんだと感じました。
過去にどんな事があったとは言え、だからこそ子供にはきちんと向き合って欲しかったな。
とは言え、そんな綺麗事ばかり言えないよってのは、子育てしている人なら誰もが感じる事だと思います。
自分の感情に任せて怒ってしまっていないか?
他人に迷惑をかけた事に対して叱るのでは無く、自分が恥をかいたと思ってしまっていないか?
謝る子供により酷い言葉を投げかけていないか?
完璧じゃないからこそ常に自問して、子供のためになる親を精一杯目指そうと思います。

やっぱり絶対に今日のテンションで観る映画では無かったです。
ゆずきよ

ゆずきよ