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きみはいい子のRyuのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
3.8
子供たちにお手上げ状態な新米小学校教師。娘に手を上げてしまっている母親。他人との関わりは、毎日下校中に挨拶してくれる小学生だけ の独居老人 。とある街で彼らは、それぞれ悩みや問題を抱えていた。

2010年に大阪で起きた育児放棄による子供の餓死事件をきっかけに書かれた同名短編集のうちの3編を描いた作品です。児童虐待、育児放棄、学級崩壊など現代社会が抱える問題を、される側、する側、大人、子供、様々な目線から描いています。
いやぁ、観ててホントにキツかったです。尾野真千子の演技が良いから余計に虐待のシーンはしんどかったぁ。叩くシーンは自身の手を叩いたり、子役のトラウマにならないように、カットかかる度に作品のテーマ同様 抱きしめたり、アナ雪ごっこをしてたそうです。
今作は2015年公開の映画ですが、2023年現在、社会の状況はよくなっているとは思えません。こういう問題は絶えず起きており、その闇の深さを実感します。
自分は先生でも親でもないし、なる自信なんかありません。世の先生や親たちが、どれだけ頑張っているか、どれだけ耐えているか。ホントにスゴいと思います。
終盤にかけて希望的な展開を見せます。それまでのしんどさがあったからこそ、高良健吾・尾野真千子が抱きしめられるシーンとか、障害を持った子供の親が老人に褒められて泣き崩れるシーン、子供たちが抱きしめられた感想を照れながら言っていくシーンとか、ホントにグッとくるものがありました。
あの終わらせ方は、希望を見せながらも、問題の深刻さを物語っていて、観てる側への問いかけのようにも思えました。
大人だって、子供だって、褒められたいし、抱きしめられたい。きれいごとかもしれないけど、こうして形にすることが如何に意義があることなのかを再認識することができる作品でした。
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