PARADISO

きみはいい子のPARADISOのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.3
2,015年6月28日 立川シネマ・ワンにて鑑賞。

児童虐待、学級崩壊、いじめ、障害児童…。
親と子と教師を取り巻く問題は山積みでそのどれもが複雑。
そういう現実をリアルに描きつつ、弱いながらも一筋の光明が射さる様なストーリー展開にどっぷりと嵌る。

等身大の主人公を演じる高良健吾の確かな演技が見事。
教育現場で悪戦苦闘する若い教師が抱える苦労がリアルに伝わって来るのである。
一時は自分の無力さに絶望感を味わいながら背を向けた場所に、再び全速力で向かおうとする姿に心が熱くなって、彼が主演で本当に良かったと思った。

もう一人の主人公は、我が子に愛情を示す事が出来ないまま暴力に走る若い母親。
負の連鎖に雁字搦めになって苦悩する彼女を説得力充分に演じるのが尾野真千子。
彼女の娘を演じる子役の存在感も相俟って、観る者に強烈な印象を残した本作は、彼女の代表作と呼べるのではなかろうか。

『そこのみにて光輝く』への出演で高評価を得た池脇千鶴と高橋和也が本作では両名とも心優しきキーパーソンを務め、子役の加部亜門が個別支援学級の男子生徒という難役を見事に演じ切るなど、観る者の感情を揺り動かすのも見所。
正直テーマは重い作品ですが、呉美保監督が描くこの群像劇には温かさと爽やかさも見出せます。
ぜひ劇場で観ていただきたい良質な作品です。
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