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きみはいい子のdxdxdのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.7
何回か恐ろしくて思わず震え上がってしまうような映画だった。


例えば、尾野真知子が娘を虐待するショット。引きのいやらしい長回し。 もうこれ以上見せないでくれ早くカット終われとただ只管祈ってしまった。あと、娘がコップ落としてしまい、また歯止めがきかない暴力が来るっていうカットも恐ろしい。映画館の後ろの席の人思わず「アッ」って叫んでいたからね。ホラー映画かよ。


でも、過剰なまでに他者の目、世間体が気になるから服や靴、弁当はしっかりしているから、周りは気づきにくい。むしろ、娘もそんな母の気持ちを察知して、「ママと同じ靴履きたい~」と言うようになる。マッドマックスレベルに狂っているよ。


だからこそ、池脇千鶴扮する天真爛漫でずけずけと物を言う肝っ玉母さんがスクリーンに現れる度に心救われた気分になる。


あと、子供も怖いね。今まで、学生目線で映画観ていて「大人って不条理のこと言うんだ」と思っていたけど間違いだったわ。今、大人として、社会人からしてみると子供あるいはその集団の方が理不尽極まりないし、不条理そのもの。


あのお調子もの、悪ガキ野郎のリアリティラインの高さにとにかく驚愕した。あんな奴いたよね。クラスの面々が統制取れなくなり、途方に暮れる高良健吾が映し出されるけど、もはや他人事とは思えなくなってくる。教室こそが本当のマッドマックスだった。


思うにこういう「恐ろしさ」は大人とか子供関係なしに発生する。そういう「恐ろしさ」とどう折り合いをつけるか問いている映画のような気がする。答えがない問をひたすら投げかけられている感じだけどせめて出来ることは他者の肯定ぐらいかもしれない。
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