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きみはいい子のKKのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.3
ふーっ、とため息が出るような話だった。


1.高良健吾演じる学校の先生

「家族の誰でもいいので抱きしめてもらってください。」
その宿題に対しての子供たちの感想がめちゃくちゃリアルで異様に心奪われた。
調べてみると、あのシーンは高良健吾と子供たちのアドリブらしい。
あのシーンだけでも見る価値があるくらい、素晴らしいシーンだった。
「抱きしめられる」ということは、子供にとって恥ずかしさもあるが、それ以上に安心感や暖かさ、幸せを感じさせてくれるもの。
それはきっと、子供だけではなく大人にとっても幸せを感じられる行為なのだと思う。
だけど、神田さんのように全ての子供にそれをしてくれる親がいる訳じゃない。



2.尾野真千子演じる虐待の過去をもつ母

虐待を受けた子供が親になった時、同じことをしてしまうとは限らないけど、幼少期のトラウマは、想像以上にその人の中に残っている。
虐待がダメなことなんて分かっている。
だけど、他の育て方が分からないんだ。
自分の娘を、部屋に入ってから怒鳴って殴ってしまう、そして自己嫌悪。
他の親もそうなんじゃないかと、聞き耳を立てて、他の人もそうなんだと自分を正当化しようとする。

だけど、外で自分の子供の頭を撫でなかったり、子供が失敗をしてしまった時、子供と接する対応や雰囲気で、分かる人には分かってしまう。

ああ、この人は子供を傷つけてしまうんだなぁと。
陽子は、マサミのそういった部分にかなり前から気づいていたんだと思う。
「ウチの子になる?」
虐待に気付いていながらも、あやねちゃんが陽子を愛していることも理解し、陽子にそれに気づいて欲しいという言葉だと思う。
陽子がマサミを抱きしめるシーン。
あぁ、よかったなぁ。
別に親じゃなくても、愛を教えてくれる人はいるんだなぁって。


3.自閉症の男の子とおばあさん
まず、凄い。自閉症の子の演技は『ギルバート・グレイプ」のディカプリオを彷彿とさせた。
てか凄い似ていて、真似たのかなって思うくらいだった。

「こんにちは、さようなら」と毎日挨拶してくれる。認知症?のおばあさんが万引き、そのスーパーの店員がお母さん。
自閉症の子を育てるのはとても大変。
おばあさんが褒めて、お母さんが泣き崩れる。
やっぱり、人は誰しも助けを求めてるんだなあ。


微妙に交錯しない、3つの話
誰しも何かを抱えていて、何かに悩んでる。大人も子供も。
本人にとって、悩みは誰にも話せない大きなものかもしれないけど、支えてくれる人がいるだけで、悩みは小さくなるかもしれない。
綺麗事だけじゃやっていけないけど、
悩みを抱えて1人で苦しんでいる、そんな人を支えられる人間に、私はなりたい
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