くるぶし

きみはいい子のくるぶしのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
3.9
前作「そこのみ…」に続き、呉美保監督は苦しみもがいている人間の描写が巧いなー。登場人物がちゃんとその街に息づいているのが映像から感じられる作品は最近なかなかないので、じっくり堪能しました。
役作りでころっころした池脇千鶴、子供を純粋に愛してあげられない母親を演じた尾野真千子、ふたりのやりとりは笑顔で刀を振り回しているような迫力があって息をのむ。明るく何事もないようにお互い取り繕っているけれど、ふたりとも慎重に近づき過ぎないように離れすぎないようにそっと距離をとっているところに、現代の“ママ友”文化を感じた。
自分は未婚なので、こういう地味なリアルさは結構刺さる。というか、あんな息がつまりそうなコミュニティーに入らないといけないのか、ママになると(遠い目)。

呉監督が上映後のトークショーで「社会問題に切り込むとか、あぶり出すとかいうことをしたいわけじゃない」と仰っていたので、作品もそのとおりリアルではあるけれど俯瞰から眺めているような感じがあり、個人的には若干の物足りなさがあったのも事実。もっとエグリ倒してもらってもよかった。
ただ、子どもたちも含めてキャスト陣が好演しているので、邦画好きな方はぜひ見るべし。
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