140字プロレス鶴見辰吾ジラ

パシフィック・リム アップライジングの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

2.7
”おまえら、長崎に旅行行って、リンガーハットでちゃんぽん食わんやろ!?”

大作映画のチェーン店化が進んでおりますな~。

ギレルモ・デル・トロ監督が世に送り出した”怪獣”vs”ロボット”のバトル映画「パシフィック・リム」にトキメキましたよ、私は。どれぐらいトキメいたかというと、1作目の怪獣をタンカーでぶん殴るシーンでテンション上がりすぎて手に抱えたポップコーンをまき散らして怒られたくらいですよ。

そんな男子トキメキな映画の2作目ときたら期待せんわけないですが、予告編を見て思いましたよ、「軽いな~」と。そして「薄いな~」と。イエーガーの重量感皆無の後ろでんぐり返りのシーンや、無機質なCG都市を破壊しながらバトルするシーンで、明らかに嫌な予感がしました。しかしながら、そこで怖気づいて見に行かないのはお天道様が許しちゃくれね~と劇場に足を運んだわけです。

前作よりも明るくクリアな青空の下
前作以上に厨二レベルを上げた機体名
資本を投下した中国人、中国人
ジョン・ボイエガにスコット・イーストウッド
冒頭の盗みのシーンから
「ん!?バトルシップ系?」と思ったところで
「インディペンデンス・デイ:リサージェンス」現象!
俺のトキメキゲージが減少・・・

やい!レジェンダリーピクチャーズ!
ガジェットの質感と動かした方が
「インディペンデンス・デイ:リサージェンス」やん?

ポリコネ意識したキャスト陣に、資本を意識したキャストの動かし方は、たしかに衝撃の展開メソッド、大作続編のマナーにのっとっていますが、トキメキがない、ない、ない、ない、ナイヤガラ!!

特に劇中のミスリードから、さりげなくコミカルで切ない伏線張って、バディモノ的なテンションの上げて落とす一連の流れは、たしかに驚愕したけれど、「そっちじゃなーい!」感がどうしても拭いえないし、株主総会でゼーレ風のおっさんどもが、「その流れでは我々のイメージが・・・」みたいなカーテンの裏側が見えちょるんよ。「キングスマン:ゴールデンサークル」に通ずるキャラの命の吐き捨て方がなんとも切なくて、やるせないんや~

店内は暗めで汚めだけれど、味は足し算式の美味しかったあのラーメン屋は、チェーン店化して、全年齢向けにキャッチーかつ形だけのトレースにしか見えなかったんですよ。そんな体験だったんですよ・・・

形だけトレースして、再点火された「パシフィック・リム」は、株主の顔色窺って、ランニングタイムの調整も含め、監督はお飾りだったんちゃうか?という印象すら与えるし、むしろ作品構成自体は、監督のスティーブン・S・デナイトの土俵の連続TVシリーズのメソッドだった気がします。だからキャラの掘り下げや、意思を重ねてのドリフトや、それに拍車をかけるバディ感がなくて、冒頭からの期待値が後半の粗雑さにガス欠状態。相変わらずレジェンダリーの東京の地理感覚は「GODZZIRA」から何も変わってなかったりとお粗末三太郎な大作娯楽のコピペ化が前作の魂が風に吹かれて飛んでいってしまうようで哀しかったんよ・・・


「キングスマン:ゴールデンサークル」
vs
「パシフィック・リム:アップライジング」

失われた大人視点の童心的青春を奪った2作が
現在のワースト候補となってしまいました。

決してつまらなかったわけではないですが
魂は継承されていくべきであるという
個人的な映画への期待や希望が閉じるのが嫌い。

「リメンバー・ミー」の2度目の死のように
魂に刻まれずに風化していくワン・オブ・ゼムの1作。