田中田中

ライフ・アフター・ベスの田中田中のレビュー・感想・評価

ライフ・アフター・ベス(2014年製作の映画)
4.0
チラシにあった「愛した彼女が“ゾンビ”になってカムバック! 亡くなった最愛の恋人ベスが墓穴から這い出してボクの前に…変わり果てた彼女をまた愛せる?『クロニクル』のデイン・デハーン主演の究極のすれ違い! キュートな青春ラブコメディ。」を期待するとコレじゃない感があるが、馬鹿馬鹿しいことをシリアスに大真面目にやって見せることによりシュールな笑いを引き出すゾンビコメディとしてかなり楽しめた。

死んだはずのベスとの再会を喜ぶザック。しかしベスは次第におかしな行動を見せ始める。自宅の壁は素手で突き破り、墓をなぎ倒しながら車で暴走、浜辺で自作曲を披露したザックのギターは大遠投。そしてスムース・ジャズにうっとり。それに対し素で狼狽して見せるザック。

一番笑ったのは、異常性のエスカレートが収まらないベスが、拘束状態から意外な方法で脱出を図り、ザックと連れ立ってピクニックへと向かう下り。その余りのシュールに過ぎる絵面の爆発力。笑い過ぎて頰が痛くなった。

シリアスな空気を保つことだったり、シュールな笑いを引き出すことだったりにも大きく寄与しているのが音楽。不穏だったりドラッギーだったりサイケデリックだったり。
「インヒアレント・ヴァイス」の冒頭でも流れていたCANのビタミンCが、ちょっとしたサスペンスの下りで印象的に起用されていた。流行りでもあるんだろうか。偶然の一致?

2015.05.18 シネマカリテ カリコレ2015
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