Jeffrey

エンリコ四世のJeffreyのレビュー・感想・評価

エンリコ四世(1984年製作の映画)
3.0
「エンリコ四世」

冒頭、美しい夕焼けと車窓。落馬した男、仮装パーティー、古城で臣下の衣装、野原を馬で駆け抜ける、王、ダンス、回想、気絶。今、狂気が巻き起こす悲喜劇が始まる…本作はマルコ・ベロッキオが、ノーベル文学賞受賞者で劇作家のルイージ・ピランデッロによる戯曲を映画化し、主演にマルチェロ・マストロヤンニを迎えた意欲作。この度、DVDを購入して初鑑賞したが素晴らしい。音楽を担当した世界的バンドネオン奏者のアストル・ピアソラが担当しているのが激アツで、テーマ曲は映画の枠を超えて今も愛されている名曲"オブリビオン"である。84年間の国際映画祭コンペティション部門に出品された彼の意欲作だ。


さて、物語は仮装パーティーでヘイリー四世に分している最中に馬から落ちて頭を打ち、その時から自分を本物の王様だと思ってしまう男性が古城で巨下の衣装を着た使用人たちと暮らす。ある日、男が事故当時に想いを寄せていた女性が彼のもとを訪れる。彼女は伯爵夫人に扮し、精神科医たちと共にある計画を実行する…。

本作は冒頭に真っ赤な美しい夕焼け空が動く車窓から写し出される。カットが変わり、1台の車を捉える。そこには4人の男女が乗り込み、アルバムを見ながらエンリコ四世に扮した男の回想が混じり語られる。映像は回想の描写へ。草原を馬に乗りながら走る人々、1人の男性が落馬して気絶する。下劣な馬小屋で目覚めるその男性、宴を楽しむ女性のショット、野外では踊りが始まり、ワインを飲む。

落下した男、彼は今の状況が全く理解できないまで記憶に支障が起きる。そして自分を仮装した王だと思い込み奇想天外な悲喜劇を招く…と簡単に説明するとこんな感じで、小道具の使い方が絶妙で良かった。わりかし映像も美しいし、95分で観易い。
Jeffrey

Jeffrey