ちか

しあわせはどこにあるのちかのレビュー・感想・評価

しあわせはどこにある(2014年製作の映画)
4.1
胃痛がなければ胃の存在を感じないように、幸福だから不幸について考えないのではなくて、現代人は幸福について考える気力すらないほど不幸なのではないか。幸福を語ることが不道徳なことであるかのように感じられるほど今の世の中は不幸に満ちているのではないか

と三木清は「人生論ノート」で言っていた。


幸福は幸福を求める過程であり、目的ではない
と聞いたことがある。主人公は自分の生き方にふと自信を失う。
そして旅に出て、あなたにとっての幸福とは何かと聞いて回る。

幸福を求めることは罪悪だと私も思っていた。自分が幸福であることで誰かが不幸になるのではと。誰かが不幸なのに自分も幸福でありたくはないと、
だが私が不幸になったところで誰も幸福にはならない。自分が幸福を求めて良いのだと、むしろそれは義務なのだと思えるようになったことが、ようやくこの映画の「しあわせ」というタイトルに興味を抱かせた。それに気づいた時ようやく人は「自分自身」と出会えるのではないか。人が旅に出るのは自分を見い出すためだともいう。幸せとは、幸福に生きるとは、「自分らしく」生きることなのではないかと思う。今見れてよかった映画。
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