ぼっちザうぉっちゃー

ラブライブ!The School Idol Movieのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

4.0
TVシリーズを観てから、かれこれ2年ほど経ってやっと観た劇場版。
個人的に初4DX作品としても印象に残った。

まず、思った以上に動く。2つの意味で。
4DXの宣伝的シークエンスの時点で、ちょっと笑っちゃうくらい揺さぶられたっていうのと、本編中でキャラクターがほんの少し身じろぐ度に「ヴぅん」と座席が動くので笑っちゃったというの。
次第に慣れはするけれど、カメラのパンに合わせて傾いたりするのは一体誰目線なんだとかは気になり続けた。

ともあれやはりライブシーンで連動する快感というのは大きくて、原則として着席姿勢を求められる劇場鑑賞においてはなかなか叶わない、音楽に乗せられて不意に身体を動かしたくなる衝動というのを、外側から物理的に介錯してくれるような、そんな感覚があった。
この点については純粋にならではの良さを楽しめた気がする。

ただ一つ気になったのは、「香り」の要素。複数の場面で効果が発動しながらも、画一で「何らかの良い匂い」に留まっていたのが残念だった。
まぁどう総じても二度目はないかなぁという所感。

内容については、こちらも思っていた以上に「ちゃんとしてる」印象だった。
正直なところ良くてTVシリーズの延長、悪くてせいぜいおまけ程度なもんだろうと考えていて、実際その両方ではあったんだけれど、ただのおれたたでお茶を濁さずに、終わりと終わりの続きまで見据えたビターな問題を真っすぐ扱っていたのが良かった。

そうして主人公中心として、寂寞と青い鈍痛に苛まれつつも、お馴染みのコミカルなテイストでテンポよく展開し、1,2,3年ユニット曲とグループ曲のバリエーションも豊かに楽しめた。

ストーリーを紡ぐのは高校生ではない大人で、それを観るものの多くもまた大人である以上、穂乃果たちの「いま」と「未来」の物語は、必然的にそのまま「あの頃」と「いま」であり、昔日と現実を思わせるものになる。

そんななか愚かにも、「いつだって跳べる」と言ってやりたくなり、いつ観ても「いまが最高!」と言ってくれる。それは紛うことなき自分へのエールに違いない。

まやかしでも偶像でも、自分の青い部分の一端を担う依り代として、こういう作品に誰しも一つは出会っておいて損はないと思う。