スマイリー

ザ・ウォークのスマイリーのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
3.0
最近、映画全体を「肯定感」が貫いている映画が多い。詳しくは書かないが、9.11以降の暗い映画がヒットする時代も一区切りした感がある。
この映画も時代の流れに乗り、全編が明るい。だからこそ観てて楽しい、大満足間違いなしと言いたいところなんだけど、正直食い足りない。
ストーリーラインは一直線。主人公は壁にぶちあたらない。着々とWTCに向けて進んでいく。こういった映画は、主人公が悩んだりして物語に深みを出すことができないので、他の部分でストーリーを引っ張っていかなければならない。ジョン・ファブローの『シェフ』は、会話の面白さ、ツイッターの使い方、料理の見せ方、音楽、編集のテンポなどなど、ありとあらゆる手段を使ってこちらを楽しませてくれたので、ストーリーは一直線でも大変満足のいく作品ができていた。
一方、この映画はというと、正直ハッとするカットも少ないし、一直線の話を引っ張ることができていない。結果、ものすごく薄味な映画になってしまった。全てがサラサラと指の間をすり抜けていくようで、特筆すべきことが正直そんなにない。
ストーリーに起伏がない分、監督の技量が問われる。ジョン・ファブローとロバート・ゼメキス、軍配は明らかに前者に上がった。
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