ジャズ爆発チルド弁当ダンス

ザ・ウォークのジャズ爆発チルド弁当ダンスのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
5.0
「ツインタワーの間を実際に綱渡りした男の物語」というプロットを聞くだけでもう充分過ぎるぐらい期待を煽られ、それがロバート・ゼメキス最新作となると一抹の疑心も吹き飛ぶ。
結論から言うと、そりゃ超面白いですよ。
ようやく冷静さを欠かずに「面白い」という単語を口に出せるようになっている。
冗談抜きでさっきまで緊張で手がベタベタになるほど汗をかいていた。
高所サスペンスとしては勿論、物を盗んだりするわけではないけどケイパーものとしての面白ささえ感じられた。
主人公のフィリップが規格外のハートの持ち主という事もあり、綱渡り計画チームを自らグイグイ引っ張っていく。
その過程が巧みな演出と共に非常にスムーズに展開していくので飽きさせない。
余計な人物描写がないのも嬉しい。
「完全に頭がおかしい」と言われると「はいそうですけど何か問題でも」と答える男の周りに何故人が集まるのかと聞かれると、まあ多分ジョセフ・ゴードン・レヴィットだからなんだろう。
魅力的な青い目を持ちフランス語を流暢に使いこなすジョセフ・ゴードン・レヴィットが目の前に現れたら、男女関係なくそりゃ墜ちるに決まってる。
肝心の高所場面では遺憾なく3D演出が力を発揮し、綱渡り用のバランスを取る棒がこちらに向かって落ちてくるシーンでは隣で一緒に鑑賞していた母が叫び声と同時にすごい勢いで右に避けるほどだった。
正直笑った。
フィリップを頭がおかしいと非難しながらも支えるチームメンバーがまた個性派ぞろいで良い。
この無謀な計画に半強制的に参加させられ高所恐怖症なのに一番頑張ったイケメンフランス男子には大拍手。
クライマックスのツインタワー綱渡りはそれまでの手をビシャビシャにさせるサスペンスフルな演出は抑えられ「美しさ」が場面を覆っていた。
そこには最早強い安心感さえ感じられ、この瞬間が一生続けと思わせてくれる。
ここで訪れる到達感が本当に素晴らしい。
「やってやったぞ!」と心からガッツポーズしたくなる。
そして、この到達感と瞬間の輝きが誰しもが知る「あの事件」と繋がり複雑な感情に駆られる。
でもそれが忌々しい記憶として連想させないのがこの作品のまた凄いところだと思う。
間違いなくそこに存在していたツインタワーに対する、とても誠実な追悼メッセージとも取れた。
見た目はライトかつシンプルで取っつきやすいが、根底には物凄くヘビーで熱い物を宿らせている傑作だった。
あと何十回でも映画館で観たい、IMAX3Dで観たい。
IMAX3Dで観よう。

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