カタパルトスープレックス

シンドバッド 七回目の航海のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

4.0
レイ・ハリーハウゼンのシンドバッド三部作の第一作目。特撮映画にとっても記念碑的な作品です。

本作は子供の頃によくテレビで放映されていて、何回も観ました。あの当時もすごいと思いましたが、いま観てもよいですね。もちろん、現代の特撮技術に比べればリアリティーは低いです。しかし、ストップ・モーション・アニメはリアリティーとは違う別の味わいがある。本作が経年劣化せずに熟成の方向に働いているのはその独特な味わいなのでしょう。

映画作品としてはテーマもストーリーもそれほど大したことはないです。ボクたちがよく知るシンドバッドの冒険ですから。「退屈ではない」くらいな感じ。見どころはレイ・ハリーハウゼンによる怪物たち。サイクロプス、双頭の鷲、ラミアに髑髏の剣士。初期の作品では恐竜とかタコとか一点豪華主義でしたが、本作では様々な手法で様々なクリチャーたちが動きます。本作ではアニメーションによるキャラクター造形の一本足打法が成立するくらいの完成度になっています。

ストップモーションの伝統はカレル・ゼマンやヤン・シュヴァンクマイエルに引き継がれていき、さらに洗練されていくのですが、オリジンであるレイ・ハリーハウゼンもいまだに輝きを失っていないですね。これからも何回も観るんだと思います。