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100歳の華麗なる冒険のkanacoのレビュー・感想・評価

100歳の華麗なる冒険(2013年製作の映画)
3.4
老人ホームを抜け出した100歳のおじいちゃんが、先々で仲間を見つけながら旅する珍道中的なロードムービー。スウェーデン版【フォレストガンプ】と呼ばれているらしい。人が多く死ぬので殺伐としているはずなのに、のんびり感が満載でシリアスさに欠ける。この軽妙さがクセになり変わった感覚があった。(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

スウェーデン作家ヨナス・ヨナソンのデビュー小説「窓から逃げた100歳老人」の実写映画化。

老人ホームを抜け出した100歳のおじいちゃんが、先々で仲間を見つけながら、最終的に余生を過ごす場所へ辿りつくロードムービー。スウェーデン版【フォレストガンプ】と呼ばれているらしい。【フォレストガンプ】を見たのが子供の頃なので内容をしっかり覚えていないのだが、曖昧な記憶では、マイペースな主人公が行動を起こす度に主人公が意図していないにも関わらず、周りの状況が進展する・好転する…という所が本作と似ている気がする。だが【フォレストガンプ】よりもブラックさや毒っぽさは【100歳の華麗なる大冒険】の方が断然上だと思う…🤔主に、100歳のおじいちゃん自身が…。

あらすじ: 100歳の誕生日を迎えたアランは老人ホームの窓から脱走し目的地のない旅へ出ることにした。最初の駅でガラの悪い男からスーツケースを預けられ、成り行きでスーツケースを持ったままバスへ乗ってしまうが、その中身にはギャングたちが運んでいた大金だった。ギャングに追われることになってしまい窮地に陥ったかのように見えたが、実はこのおじいちゃん、そんなことでは微塵も動揺をしないという、9歳くらいから爆破の楽しみに目覚め、3年勉強しただけで爆弾専門家となり、歴史の教科書に載るような人物たちとも顔を合わせ、戦時を生き抜いてきたというトンデモおじいちゃんだった!…みたいなお話。

🐝「名前を聞いたことのある歴史人物が出てくると、その都度ちょっとテンションが上がりました✨」

100歳のアランが成り行きまかせに(たぶん本当に何も考えていない!)旅をして、その最中に仲間を見つけたり、ギャングに追いかけられて返り討ちにしたりする、 おとぼけな珍道中のパートと、その要所でアランがこの年齢になるまでどのように生きてきたかを綴る過去パートの二本柱が同時に進行していく。

作品全体はのんびりしていてシリアスさに欠ける。音楽も気が抜けるようなコミカルさ。人がどんどん死んでいくにしては、雰囲気はとても軽い。派手さはなく、シュールでブラックなジョークに終始包まれている。それを笑える人もいるだろうし、笑えない人もいるかもしれない。私はこの軽妙さがクセになって、なんだか変わった感覚があった。

奇しくも爆破の歓びに目覚めた日に、避妊(コンドーム)を広めようとした革命家の父親が処刑され、数年後、病に伏した母親の死に際の言葉「父さんをごらん、要らない考えばかり、結局どうなった?考えたって無駄になるようにしかならない 人生そんなものよ」に共感し、その後は大好きな爆破ができる機会だけは積極的だが、他全ては成り行き任せで飄々と生き「明日は明日の風が吹く」を誰よりも体現してきた男。100歳の人生、いろいろな人を絶叫させてきたその人生は本当にハチャメチャだったが、自分らしさを見失わず、何事にも一切動じることがないその姿が、あまりにも自然体で羨ましいというか、こんな風にブレないで人生を謳歌できたら本当に凄いと思うかも(いや、全てを真似したくはないかもだけど😂)。
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