さしすせ

レヴェナント:蘇えりし者のさしすせのネタバレレビュー・内容・結末

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アメリカの西部開拓時代を生きた実在の罠猟師 ヒュー・グラスの半生と、彼の過酷な旅を描いた今作。
作中設定は1823年、アンドリュー・ジャクソン大統領による「インディアン移民法」成立(1830年)の7年前。

民間伝承では、"レヴェナント"とは、「死から蘇って生者に取り憑く」と信じられている生きた死体のこと。
また"レヴェナント"という言葉は、古フランス語で「帰還」を意味する「revenant」に由来しているそうだ。

生き抜くためには確固たる「目的」が必要なのだろうか。
死に対して浮き足立つ心身にとって、おもりのような働きをするのが「目的」なのだろうか。

人間は自然を利用(搾取)し、自然に生かされ、自然で絶命しかけていたが、自然は終始ただただそこに在り続けていただけだった。
この漠然とした雄大さや無慈悲さ。
自然と神とを並べて思った。
こう思うのは「八百万の神」のような神観念が日常の根底にある日本人だからなのだろうか。
それとも、「皆等しく自然の中に生かされている」というような考え方である「万物斉同」から来る東洋人的感覚なのだろうか。

血塗られた開拓史が多くのひとに届くのはいい機会だが、このような作品でさえ「白人至上主義」と名高いアカデミー賞の受賞を、権威や箔として誇るしかないのかと少し空虚な気持ちになった。(そもそもアメリカ資本の作品だが。)

(先住民族(アリカラ族やポウニー族)についてはキャスティング等で文化的問題に発展しなかったのかが気になる。)
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