息子を殺された男の復讐物語― そんな単純な作品ではございません。父親にとっては生死をかけた決意だが、広がる圧倒的な大自然の中では些細な事でしかなく、弱肉強食世界の中では自然淘汰の一つにすぎない。
自然界の生き物は決して楽しむために他の生き物を殺さない。快楽のために他の生き物に危害を加えない。グラスはラストでそれを思い出すのだ。生きる権利を与えられた自分と他者。他者の持つ権利を個人的な理由で奪うことは出来ない。それが出来るのは神だけであり、グラスは神に委ねる。
自然とは、なるように、なるのだ。必ず