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レヴェナント:蘇えりし者のmayaのレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
4.7
肺の中に冷たい水が流れ込んでくる。
プロットは西部劇だが、「映画でしか描けない詩的な表現」とはこのことか、という感じ。なによりも音響と映像が素晴らしく、技術の進歩があるからこそ撮れる映画があるな、ということを実感した。莫大な予算で雄大な自然を撮った「ドクトルジバゴ」「ベンハー」「アラビアのロレンス」あたりで、「CGじゃないからこその映像、すごいなぁ」と思っていたが、あの時代じゃこれは撮れない。しかも、これはCGではない。アルヴァノトと坂本龍一に氷と水の音響表現を任せたの、大正解すぎる。
冷たく厳しい白い曠野をドラマチックに撮った結果、人間の憎しみ、後悔、善性、悲しみ、感情すべてがただひたすらに鋭く研ぎ澄まされている。最後の狂気の追いかけっこ、一番狂気じみてたのは、取っ組み合ってる時より、転がり落ちた後、二人とも歩いてる所。復讐の義務感だけが事務的に二人の身体を動かしているようで恐ろしかった。
最後のカットでグラスの氷河のような瞳とカチッと目が合い、彼の呼吸が自分に同期されて、完全に彼が感じている全てを最後数秒全身全霊で感じる。本当に映画館でみたいのでいつかIMAXでやってくれないかな、、、
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