堊

彼方からの手紙の堊のネタバレレビュー・内容・結末

彼方からの手紙(2008年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の坂を転がる白いボールを見た瞬間、なんてあざといんだ!って思ったけれど、ほんとうに傑作だった。今年見た映画で一番好きかもしれない。観覧車見上げる顔→観覧車が消える→うつむく顔→ぼやけた観覧車→車内の男→車と観覧車のショット。この一連のため息がでそうな「間違ってない」編集にウットリする。鍵を借りるショットのアメリカ映画っぽさも最高。ゲームセンターと運転画面の切り返しで「ありえない場所にいるふたりを繋ぐことができるのが映画なんだ」っていうゴダールの言葉を思い出したり…。時間を感じさせるショットが散りばめられていてそれがうまいんだか下手なんだかわからないところ(妊婦のショットとかあの辺り)もまた愛おしい。
『彼方からの手紙』といえばスチャダラパーだし、「こっちはどうにもならんがうまくやっています」は曽我部恵一。中村一義が元ネタで作られた『犬猫』的なゼロ年代サブカルチャーミックステープの残り香を強く感じる。

編集だけでなく脚本もいい。

「すごい、飛行機ってあんなにおっきいのに浮いてる」
「おれたちだってフワフワしてるよ、どっか遠くに行きたいね」
「どこの国に行くのかな」
「羽田だから国内じゃん?」
蹴りあげ合ってじゃれ合うふたり。
堊