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ロビンソン漂流記のadeamのレビュー・感想・評価

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)
3.0
冒険小説の金字塔をブニュエルが意外にも真っ当に映画化した作品。
アリエル賞で六冠に輝き、自身初の英語作品として「昼顔」以前のブニュエル作品ではアメリカで最も興行的に成功するなど、メキシコ時代の代表作と言えます。
黒人奴隷売買の船旅に出るものの漂流し、無人島でサバイバル生活を送ることになったロビンソン・クルーソーが知恵をこらして生き延びる様を描いた物語です。
父親の幻覚を見るシーンこそ不気味でしたが、基本的には子どもにも分かるようなシンプルな語り口になっています。
猫や犬や鳥、さらには虫にも友情を見出そうとするも満たされない長年の孤独の中、見知らぬ足跡を見つけた時に喜びよりも恐怖を感じてしまう場面が印象的でした。
その後のフライデーとの生活や関係性の変化、そして結末までが短い尺の中でうまく構成されていました。
ブニュエルらしいアクの強さはないものの、王道の冒険物語を正攻法で描く確かな演出力を感じられる佳作でした。
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