まめだいふく

ストリートファイター 暗殺拳のまめだいふくのレビュー・感想・評価

3.0
 ‶俺より強い奴に会いに行かない”

 対戦格闘ゲームの金字塔『ストリートファイター』シリーズの三度目の実写映画化。
 三作目にして、ようやく本来の主人公であるリュウがメインキャラに!

 元々は、ゲームのファンであるイギリス人俳優ジョーイ・アンサーが、旧二作品の内容に不満を持ち、自ら実写映画の作成をはじめ、YouTubeで短編を公開したのがきっかけとか。
 この短編が反響を呼び、そのまま長編を制作するに至った、と。

 ゲームファンが製作の中心となっているだけあって、ガイルや春麗が主人公だった過去の2作品よりも、原作オマージュやゲーム愛が凄まじい。キャラクターのビジュアルも忠実。ケンや豪鬼なんて本当にそのまんまだし、音楽も、ゲームに使用されている曲のアレンジが流れる。格闘シーンもかなり出来が良い。

 映画の内容は、リュウとケンがまだ剛拳のもとで修行をしている現在パートと、剛拳の若かりし頃の過去パートが交互に描かれる。特に、剛拳の弟豪鬼が殺意の波動に目覚め、闇落ちするまでを丁寧に描いており、ゲームでは深掘りされていない豪鬼誕生秘話を知ることができる。いやあ、豪鬼も昔は恋をしていたんですねぇ。
 その他、豪鬼の背中の ‶天” の一文字の由来やリュウのハチマキがなぜ赤いのかなどが描かれる。まあ、これらをカプコンがどこまで公式として認めているかはわからないが、裏設定としてはそれなりに楽しめるし、まあまあ納得できる。
 残念なのは、セリフがその時の気分次第みたいに日本語になったり英語になったりする点と、リュウの日本語が片言なこと、そしてところどころ英訳が適当なこと。例えば「暗黒の波動」を「Dark Hadou」とか。まあ、これはまだいいとしても「暗黒の気」を「Dark Ki」はないだろ。

 さて本作、大半が修行シーンで、さほど山場を迎えることもなく終わってしまう。そう、リュウとケンが世界中を回り、数多のライバルたちとストリートファイトを繰り広げるのはこの後。つまりこれは原作であるゲームの前日譚という位置づけ。なので劇中では豪鬼とも闘わない。まさに「俺たちの闘いはこれからだ!」でエンドロール。うーん、まあ仕方ないか。

 そういえば一時期、続編制作決定の噂もあったみたいだけど、どうなったのやら。
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