エリザベス女王が週に一度首相に謁見して報告を受ける場面を描いた舞台劇。「オーディエンス」とは、謁見の意味であるそう。
20代で即位されてから60年。その間に12人の首相と謁見を続けてこられた。劇では、 チャーチル、ウィルソンの他は、 サッチャー、 メージャー、ブレア、ブラウン、キャメロンと比較的最近の首相が登場する。
女王と歴代の首相との会話がスリリングだ。 無駄のない台詞で、風刺を込めた皮肉な笑いを誘うこともあれば、君主として特別な人生を生きなくてはならない葛藤や覚悟、 当時の世界情勢の中でのイギリスの立ち位置や、政治的な状況が語られる。
エリザベス女王が実際にはどのようなお人柄なのか存じ上げないが、この劇で描かれる女王は、威厳もありながら、機知に富み、ユーモアと人情味に溢れておられる。
舞台の上でエレガントに早着替えをして、様々な年代の女王を演じ分けたヘレン・ミレンが圧巻だ。ドレスや髪型、立ち姿が目まぐるしく変化して愉しい。
女王と政治という、興味深い題材と、ヘレン・ミレンにすっかり魅了された。
幕合いに見せてくれる衣装製作の様子も、とても 面白い。本物の女王陛下が様々な色のお洋服をお召しになられている写真が出てきて、とてもチャーミングだった。
ずっと観たいと思っていた作品。日本橋で見逃し、池袋で見逃し、渋谷で見逃し、渋谷に帰ってきた。感謝。