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ナショナル・シアター・ライヴ 2015「ザ・オーディエンス」のtaruponのレビュー・感想・評価

3.7
NTL2014で公開になった「ザ・オーディエンス」の再映がル・シネマでありみてきました。
1部と2部の間に、ピーター・モーガンのインタビュー、女王の衣装についてのメイキング映像ありでお得な感じがあります。

オーディエンスとは、観客の意味ではなく、エリザベス女王と英国首相との週1回の謁見の意味
首相役の面々と女王役のヘレン・ミレンの対話劇がメインで進む。
とにかくヘレン・ミレンがすごい。舞台上で衣装を早替えしながら、女王の60年を行き来し、いろいろな年代を演じ分ける。
各首相とのこの謁見の記録は公開されていないそうで(唯一の例外がブレア首相)その時代に起きたことや、わかっている客観的な事実をもとに、こんな対話があったのではないかとモーガンが作ったフィクション。
でも、フィクションだからこそのリアルが感じられる。

とても面白かったし、笑えたのだけれど、私がイギリスの現代史にもっと詳しければ、2倍にも3倍にも楽しめたのだろうなって思う。サッチャー、チャーチルそのあたりはイメージがすぐにわくけれど、他の方については名前がやっとな部分もあるのでね。
でも、「The Queen」も見ているし、イギリス王室にはまぁ結構興味があって、知識もまあまあというところなので、かろうじてついていけていたかな?という感じかな。
だから、この評価の3.7というのは、私の知識不足で楽しめた点数ということで、私の残念さをマイナスしたものです。もっといろいろわかっていたら4点越えだろうなと予測します。
正直、これをどれだけ楽しめるかって、イギリスの現代史や王室への知識や理解が問われる感じかなって思う。

舞台は、バッキンガムだけでなく、バルモラル城の場面もあり、置かれる椅子、ロイヤルタータンのひざかけ、旧式の電気ストーブ等小道具も興味深かった。
そして、女王の衣装がその年代、TPO、などなどを表していて素敵。

会話の中では、ウィルソンが結構比重が高く、最初の出会いから、最後辞任の部分の関係性の変化がすごく面白い。
あと、中立とはいえ、お互いに相性の合う合わないもあったようで、そういうところが端々に出るのだけれど、もう少し背景を理解していたらもっとニヤリで笑える部分が増えるのになって感じる。

そして、これって日本では成立しないテーマかなって思う。
例えば平成30年間の首相×天皇陛下 の会話が演劇的に面白いテーマになるとは思えない。

ピーター・モルガン×ヘレン・ミレンのコンビは、「The Queen」のコンビ
[The Queen」と同様、女王の描き方の根底に、敬愛の念を感じます。
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