がーこ

ナショナル・シアター・ライヴ 2015「ザ・オーディエンス」のがーこのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

とにかく、ヘレンミレンが素晴らしかったです。ほんと凄かった。
最初出てきた時、私の知ってるミレンと違う顔だったから、あれっ、私勘違いして観に来たのかな恥ずかしいわとか思ってたけど、休憩中のインタビューで見てやっと、この人知ってるー!ってなった。

ほんとにエリザベス女王そっくりだったもの。
もちろんメイクとかもあるのでしょうけれど。
表情とか立ち方とか歩き方とか、ほんとソックリ。あの口元とか凄いよね。写真とか動画とかで見たそのまんまで。
女王になじみのない日本人の私でも、似てるー!ってなりました。

また衣裳も素晴らしくて。
あのワンピースやメイクの力も大きいのだろうなあ。

首相と話している時と、自分と話している時の差が、もうたまらなく好きだ。
女王としてそこに座ってるんだけど、ほんのちょっとだけ、ほんとの事がぽろりと出てくるのですね。その瞬間がもう素晴らしかったです。

女王ってこんなに大変な立場なのよ辛いのよってのを全面に押し出す感じじゃなくて。しみじみと淡々と、でもなんとなく淋しさを持って佇んでいる感じが何とも言えず好き。
そう、背負ってるって感じがするのです。

会話のテンポとか持って行き方とかも、とても素晴らしい。
間とか表情とかで笑わすのってやっぱり凄いことだと思う。
ほとんど座りっぱなしなのにちっとも飽きさせないのは、やはり凄い。
戯曲の素晴らしさや出演者の力だと思う。

しかしこれ、ちゃんと王室の事とかイギリスの政治や首相の事とか、ちゃんと勉強して観に行ったらもっと面白かったろうなあと思いました。
時事ネタとかもう、大ウケだったもの。
多分イギリス人は、次はどの首相だー?ってワクワクしながら観てたんだろうなあ。
後から本物の写真を見たけど、ほんとにそっくり。びっくりした。
日本でもこういう芝居やってくれないかな。
絶対に面白いし、きっとそれ以上の、意義のある芝居になると思うんだけど。やっぱりこういう皮肉めいた作品は、イギリス人だから面白く作れるのかしら。
がーこ

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