寡黙な映画。
だから何が言いたいかはよくわからない。
ただ映像の完成度は高い。
とてもシンプルな画面なのに異様なほど絵力は強い。
真っ黒な空間で無機物的に、しかし誘惑的に歩くスカーレット・ヨハンソン。それについていく男たちの足元だけが沈澱していく。最小限の要素しかない映像なのに言いたいことが映像で過不足なく表現しきるこの感じ。
監督であるジョナサン・グレイザーはジャミロ・クワイの『Virtual Insanity』のMVなどをはじめ、MV・CM界隈では推しも推されるディレクターなだけあって、映像のセンスはピカイチ。
とはいえ難解だし、台詞もほとんどないので説明不足感は否めない。スカーレット・ヨハンソンはヌード姿を惜しみもなく披露するが、それがあまりエロく見せることをせず、あくまでテーマを描くための一要素としているのは好感が持てた