マヒロ

アンダー・ザ・スキン 種の捕食のマヒロのレビュー・感想・評価

3.5
感情を表に出さない謎のトラックドライバーの女が、街中で引っ掛けた男を謎の空間に引きずり込んでいく…というお話。

というといかにもSFホラー的なあらすじだけど、実際はジャンル分けにも困るくらいの、かなり異様な世界観。
常に曇り空の風景と無機質で得体のしれない女の部屋、常に鳴り続ける奇妙な劇伴、引き摺り込まれた(邦題通りなら「捕食」しているようだが)男達が迎える末路の不気味さ等、かなり鮮烈なイメージが連発する。
確かこの頃『her』とか『ルーシー』とかで人外役ばかりやっていたスカヨハ、今作でも人智を超えた存在を好演。関係ないけど、上から下まで素っ裸になった彼女が、思っていたより引き締まってないぽっちゃりボディで、なんだか好感持てたのだった。

ポスター画像を見ると「地球外生命体の侵略〜」とか大それたことが書いてあるが、とにかく説明がないので本当にそういう筋書きなのかも判断しかねる。
文字通り次々と男を食い物にしていった彼女(?)が、人との関わりを絶っていた奇形の青年との出会いをきっかけに、少しずつ人間に興味を持つようになっていくという展開は、割と分かりやすい物語にも思える。人間と同じようにケーキを食べてみたり、情事に及んでみようとしたりするあたりは、シュールなコメディ映画みたいに思えてくるし、ラストのハゲたおっさんとの追いかけっこはよりシュールでなんか笑えてくる。
最初から狙ってそういう描写を入れているのか、あくまで真面目にやっているのかは謎だけど、とにかく最後まで尻尾を掴ませない不思議な映画だったことは確か。

(2017.108)
マヒロ

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