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アンダー・ザ・スキン 種の捕食のユーザーネームのレビュー・感想・評価

4.8
好き過ぎてブルーレイとDVD両方買ってしまった こんなに蠱惑的な作品があるだろうか。映画全体が醸し出す雰囲気の凄まじさで観る者を魅了する映画が存在するがこれがまさにその例。この冷徹な美しさは唯一無二。この世のものとは思えない異様な雰囲気を放つ、21世紀に作られた映画の中でもトップクラスにユニークで実験的な作品

この映画の何が凄いかといえばまずスカーレットヨハンソンが実際に車に乗って街を歩く見知らぬ他人に話しかけているという点です。そのためこの映画に出てくる一部の男性は隠し撮りで本当にスカーレットヨハンソンの誘惑に誘われておりそれが演技ではない状態でリアルに撮られています。もちろんそういうシーンは照明を使えないので一部のシーンでは画面が暗すぎてよく見えないのですが、それもまた不気味さを作り出してると思います。また道端でコケるシーンなども隠し撮りで撮影し、人々のリアルな反応をそのまま映すというボラットみたいなことをやったかと思えば、逆に白や黒のみが背景の超現実的なシーンやこれまで観たことがないような強烈なイメージが間に組み込まれ、ドキュメンタリーとシュールさが混ざり合った独特の作品世界を築いています。冒頭から最高でもしタイトルが出る前のこのオープニングで何も感じない場合はもしかしたらこの映画を観ないほうがいいかも笑。エイリアンの目がゆっくりとフォームされていく中、エイリアンが英語の発音を練習している音声が聞こえる最初のシーン、ここでエイリアンが「セル、、セ」と発音している途中にぶつ切りでいきなりタイトルが出る感じがほんとにたまらん。

映画の途中非常に印象的な顔の男性が出てきますがこの人はadam pearsonという人物で一切メイクアップをしていません。このシーンも含め美醜についての強い問いかけもしている作品だと思います。
またこの映画は敢えて説明を省くことで、観る側の解釈を広げることができる 2001年宇宙の旅 的な作り方をされてる映画でもあります。

小島秀夫監督は絶賛してらっしゃったと思いますが、好き嫌いは非常に激しく別れる作品だと思います。音楽やビジュアルによる不気味かつ独特な雰囲気にノれない場合、間違いなく退屈に感じるでしょう。(最初の10分ぐらいでゾクゾクしないなら多分最後まで見なくてもいいかも笑) 基本暗くて地味でスローペースで難解な映画なので評価が低いのも分かるけど 僕は大好きな作品。