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陽のあたる教室のぜんのレビュー・感想・評価

陽のあたる教室(1995年製作の映画)
4.7
【高校の音楽教育に30年間を捧げた実話を基にした感動の物語】

映画の主役であるホランド先生は元々作曲家になりたかった。そのため時間に融通が利き、作曲する時間ができると思い高校教師として働き始める。

初めはいやいや先生をやっていたこともあり、知識を教えようとしても何も覚えない生徒に嫌気がさしていた。

しかし、ある時に授業でロックンロールを教えると生徒たちが見違えるほどに授業に積極的に参加する。この出来事がきっかけで「教師」という職業に対してのめり込んでいく。校長先生の「生徒に知識を与えるだけでなくその知識を生かす柔軟な方向性を与えること」が教師の仕事であるという言葉がさらにホランド先生を本当の教師にする。

映画の中では30年間で様々な生徒に指導していく。
・練習しても中々クラリネットの上手にならないラングさん
・レスリングだけしかできなく楽譜も読めないラス
・歌手になりたいが中々夢に踏み出せないロウィーナ
こういった生徒に対して一人一人に合わせた柔軟な方法で指導して方向性を与える。

教師という職業の良いところは生徒の成長を目の前で体感できることにあり、生徒が壁を乗り越えて成長する姿を見ることは教師にとって最大の幸福であり、ホランド先生もその魅力にとりつかれていったように思う。

30年間ということで時期ごとにどういう時代であるかといった映像も流れて時代背景も入って来やすいように感じた。

ホランド先生には耳の聞こえない子供がいて、教師という仕事に没頭するあまり子供であるコールに向き合えてなかったが、ある出来事を気にそれに気づき、息子に対して手話で歌を捧げるシーンは感動しました。

60歳を迎え教育の予算削減の影響で音楽の授業がなくなることになる。荷物をまとめて帰ろうとしたところでサプライズで今までの生徒がみんな集結して、大勢の生徒の中で最後の演奏をするシーンは感動で鳥肌が立ちました!

邦題は「陽のあたる教室」となっているが原題は「Mr. Holland's Opus」(ホランド先生の作品)である。
ホランド先生は作曲家として多くの作品を世の中に送り出し有名になりたかったがそれは叶わなかった。しかし、最後のシーンで分かるように今まで教えてきた生徒一人一人がホランド先生が世に送り出した「作品」であると思いました。

主役を演じたリチャード・ドレイファスは30年間でその時期ごとのホランド先生をうまく演技していてアカデミー賞の主演男優賞の候補にも選ばれたように圧巻の演技でした。

この映画は143分あり長いと感じる人もいるかもしれませんが、感動する映画を見たいという方に是非オススメしたい映画です!
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