ベビーパウダー山崎

我が胸に凶器ありのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

我が胸に凶器あり(1996年製作の映画)
2.5
映画の欠片を集めてもそれが優れた「映画」になるとは限らない。芯がなく魂を込め忘れた醜いフランケンシュタイン。これだけ脈絡のない話に付き合っている役者は立派。借り物でしかないキャラクターの浮わついたセリフ、遊びの延長線上でしかない殺し合い。場面場面を切り取ればまだマシに見えるのだろうか。偉大な先人たちに近づこうとして挫け、己の才能を疑いながらもがき、社会や映画にはっきりと正否を示し、内なる知性と他者への攻撃性で常に仮想敵を作り表現してきたような怒りの作家。ラストの美しい馬。