バナバナ

シャトーブリアンからの手紙のバナバナのレビュー・感想・評価

3.0
実話だそうです。
1941年、ドイツ軍に占領されていたフランス・ナントで、ドイツ人将校が一人、フランス人の共産主義者に暗殺された。
怒ったヒトラーは、見せしめにフランス人150人を処刑する命令を、現地に送ったのだった。

現地のドイツ人将軍や大佐は、実は反ナチ。
しかし、現ドイツ首相ヒトラーの命令は聞かなければならない。
犯人は捕まっておらず、一般のフランス人を殺す訳にもいかないので、地元の副知事も巻き込んで、ナントに近いシャトーブリアン郡にあった政治犯収容所からも、処刑者を出す事になる。

このショワゼル収容所は、ど田舎にあり牧歌的で、政治犯といっても大人しい人達を収容しており、その中には映画館で政治的なビラを配って逮捕された、17歳のギィ・モケも居た。
そして彼も処刑者に選ばれてしまうのだった。

この作品では、現地のドイツ人将校さえも、ヒトラーの命令に
「やり過ぎだろう」と困惑し、誰も喜々としてこの命令を受け入れた者はいない。
しかし、実行されてしまった。
一人に対し150人の命。
今作とは別の話だが、後にラインハルト・ハイドリヒが暗殺されたプラハでも、一人に対し1万3千人が虐殺された。
何という理不尽。

ハンナ・アーレントがアイヒマン裁判の感想で『悪の凡庸さ』を説いた。
“考える事を辞めた人間は、どんな愚かな事でも仕事として何でもやってしまう”と。
まさに凡庸でないと事務的に処刑なんて出来ない。
日本人もドイツ人と気質が似ている。森友学園問題でも忖度しまくってたしな…(汗)。
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