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隠し剣 鬼の爪のscaflocのネタバレレビュー・内容・結末

隠し剣 鬼の爪(2004年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

 やはり久しぶりの観賞。いやー、初見の作品、俺ってなかなか観ないなー。ま、歳取って、わざわざハズレを引きたくないという臆病さは余計増しました。ごめんなさい。
 山田洋次時代劇三部作の中でも、本作が特に好きです。もちろん真田広之や木村拓哉のがダメというわけではないんですが、やっぱり山田洋次との仕事が初めてな人とそうでない人は、画面への馴染み方とか溶け込み方が違うような気がするんですよね。で、だからこそ、緒形拳とか小澤征悦とか松たか子は当然画面から浮くんですがね、それがまた良い塩梅な絵に収まるんですよね。松たか子なんて百姓の顔じゃないですからね圧倒的に。そりゃあれが女中で来たら、とんでもないことですよ。これが小山ゆうの漫画だったら大変なことになってますよ。
 それから緒形拳なんかコレに出てたって今村昌平かな? って思っちゃいますからね、顔で。でも旨いですよねー! 「いばりが、いばりが」ってね。あそこらへんは腕前が出ますねぇ。
 あと、前作の凄腕の剣の使い手たる敵役田中泯が、今回は永瀬の剣の師匠だったりね(師匠としては三作の中で一番実践的なことを教えてます)、逆に憎き仇たる緒形拳が、木村拓哉の心優しい剣の師匠だったりね、あと、稔侍の芝居はいつでも何やっても一緒だけどそれが良いなぁ、とかね、そういった繋がりの可笑しさとかを楽しめるのも、真ん中の第二作目ならでは、って感じですね。で、流石の緒形拳で、二回目だとちゃんと画面に馴染ませてくるんですよ。いやー、偉い役者を失くしました。
 本にもちゃんと大きなフリオチもありますし、随所に小さなフリオチもあります。原作(とされる短編集)も読みましたが、一際地味な話が多いので、それをまとめる技量の確かさも感じました。忘れた頃にまた観たいです。
A8B7C7D7E7→36
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