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隠し剣 鬼の爪のyawaraのレビュー・感想・評価

隠し剣 鬼の爪(2004年製作の映画)
4.2
下級武士の優しく真っ直ぐな生き方を、様々な出来事を通して綴る。

音響と絵作りに徹底していて、リアリティに優れる。当時の営みが身近に感じられる描写は見事で、散りばめられたユーモアのセンスも手伝い、世界観に入り込みやすい。

片桐は腕が立つものの優しさゆえに人を斬らずに過ごしてきた。謀反の疑いをかけられた同門を庇うなど義理にもあつい男で、清貧な暮らしぶり、人への温かい接し方にはたいへん頭が下がるものである。
彼と対極に存在する家老が、タイトルに謳われる暗殺剣を用いる相手となる。力を持つ存在が利己的に振る舞う事に対しての警鐘か。

時代劇ではあるものの、形式ばらずに現代的なモチーフで構成された物語は古びる事なく、たいへんに強くメッセージを伝えているように感じます。ヒューマニズム溢れる、美しい作品。
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