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隠し剣 鬼の爪のBOBのレビュー・感想・評価

隠し剣 鬼の爪(2004年製作の映画)
3.5
山田洋次監督による「藤沢周平三部作」の第二弾。

幕末。海坂藩の平侍が、かつての使用人で商家に嫁いだ女性と再会。彼女が苦境に置かれている事を知り、何とか助け出そうと奮闘する。

「言いつけでがんすか?」

良作だとは思うが、前作『たそがれ清兵衛』が傑作だった故、物足りなさも感じた。登場人物は総入れ替えしているものの、プロットがかなり似ているので、どうしても比較してしまう。理不尽な組織vs個人の図。

登場人物が多いからか、一人一人の掘り下げが浅くなり、人情ドラマが淡白になってしまっているような印象を受けた。

前作よりコメディが増えたのだが、ほとんどはまらなかった。藩のイギリス式教育担当の人が、一人だけ現代からそのままタイムスリップしてきたのかと思う程、世界観から浮いていた。唯一、武士たちがイギリス式の歩き方走り方を実践するシーンは可笑しかった。

『隠し剣 鬼の爪』炸裂。渋い。その一瞬の早業は『椿三十郎』の三船敏郎を想わせた。

『ミステリー・トレイン』『パターソン』の永瀬正敏が主演。脇役で登場する緒形拳と田中邦衛のオーラが半端ない。

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