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ニュースの真相のバナバナのレビュー・感想・評価

ニュースの真相(2016年製作の映画)
4.0
2004年の大統領選挙戦の最中に、アメリカCBSテレビの看板番組『60minutesⅡ』が、大統領候補のブッシュJr.がベトナム戦争逃れの為に、コネで州兵航空隊に入隊し、あまり働く事もなく他の州兵に転属して早々除隊し、ハーバードビジネススクールに入学したという“不透明”な経歴をすっぱ抜いた。
しかし、すぐさま証拠のメモ偽造説がネットから出回り、偽造自体は真実だったので、60minutesⅡの名物司会者ダン・ラザーや、制作の幹部がCBSから首を切られた事件の一部始終を見せている。

アメリカ国防総省は後にこの時期のブッシュJr.の州兵の残っている経歴は全部公表したらしいが、結局肝心な点はどうだったのかな?
この時期にブッシュJr.がアルコール依存症でデロンデロンだったのは本当らしいので、確かに勤務の継続は難しかったと思うのだが、州兵辞めた後にベトナム戦争に徴兵されなかった事が不可解なのか、
それとも一度州兵として勤めた経歴があればベトナムに行かなくてもよかったのか、そこら辺の事情はこの映画からは分からない。

日本では選挙期間中に経歴詐称がバレても、マスコミは選挙中は報道できない。受かった後に詐称が報道されて、即辞めた例が数件あるけれど。
この映画を観ると、アメリカでは選挙期間中に立候補者の不正の報道ってできるんですね。
だから、反勢力、不支持者がここまで手のこんだ事もするって事?

それに、この事件は新聞ではなくテレビ番組で起きた。
新聞だったら毎日締め切りがくるから、逆に大きい事件は証拠を集めるのに慎重になりそうな気もするが、これはテレビ番組なので、あわよくば来週の番組に出したい、というスタッフの焦りもあったのかな。

この番組では、この前年にアブグレイブ刑務所のイラク人捕虜虐待事件をすっぱ抜いていたのがチラっと映像に出ていたけれど、
元軍人が顔出しでインタビューに応じているんですね。
そういう点では、日本は自衛隊のイラク派遣日誌紛失事件とか忖度は上手だけど、内部告発できる土壌はまだまだ難しいですよね。

他にも、元文科省の前川さんを講演に使うなと文科省からチャチャが入ったり、
政治とは違うけれどもレイプ被害者が顔出しして訴えているのに
「俺は政治家ともたくさん知り合いなのにそんな事する訳ない」で起訴もされなかったり、
医大の受験では、女子受験生のみ勝手に減点されていたりと、
日本も先進国と名乗るには、まだまだ恥ずかしい部分が多いですけどね。

最近はアメリカでも、なかなか大きなスクープは難しくなったのでしょうか。
1つのブログがアメリカのメジャーTV局を打ち負かした、という事でも大きな転換期になった事件だったのかもしれません。
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