正義のもと真実の追求、巨悪の弾劾を果たすのがマスコミの使命なのだが、大概の場合、TV局としては視聴率、ジャーナリストとしては自我と虚栄心が先んじてしまうので信用できないし、つまらない。どんなに偉そうに大義名分を振りかざしても、ただ名を残したいだけ。超越的特権を持っていると勘違いしているのも鼻持ちならない。結局大事なのは何が意味のある重要な本質なのかを見極める目。大統領の経歴詐称なんて大局的に見れば些末な揚げ足取りに過ぎない（まあブッシュ自身も些末な大統領だったが）。もっと立ち向かうべき巨悪があるだろうに、こんなことにここまで情熱を傾けられることが信じられない。
結局ジャーナリズムにスポットライトを当てようとしてもこの程度の物語しかないのだろう。真のジャーナリストはどこにいってしまったのか？映画としては一見権力への抵抗と謎解きが面白いように見えるが、本質に意味のないことに価値はない。この映画でマスコミのくだらなさを主張していると見れば評価できるが、殉教的に描いているのが残念。ただレッドフォードだけはかっこいい。
