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ニュースの真相のKUBOのレビュー・感想・評価

ニュースの真相(2016年製作の映画)
4.0
7月2本目の試写会はケイト・ブランシェット、ロバート・レッドフォード共演の「ニュースの真相」。ブッシュ元大統領の軍歴詐称疑惑報道に関する事実に基づく作品だ。

CBSの「60ミニッツ」という報道番組のプロデューサー、メイプス(ケイト・ブランシェット)は、ブッシュ大統領が当時ベトナムに派兵されないように軍歴を詐称した事実を裏付ける文書を入手しスクープ番組を放送するが、その文書そのものの偽造疑惑が持ち上がり、社内的にも社会的にも追い詰められていく…。

ブッシュの軍歴詐称は有名な話で、本人のベトナム派兵逃れ、口利きをした人間にウサマ・ビン・ラディンから金が流れている事実など、当時現職大統領のとんでもないスクープだったわけだが、原題の「truth」は最後までグレイのまま、文書の出処と信憑性だけを追求されニュースそのものが世の中から抹殺されていく過程が怖い。

ニュースキャスター、ダン・ラザー役のロバート・レッドフォードの台詞が心に突き刺さる。「偏向と言われて質問をしなければ、この国は終わりだ。」

10年ほど前のアメリカの状況が、今の日本の状況に驚くほど似てはいないだろうか? 時の政権のご機嫌を伺いながらでなければ成り立たないテレビ局。教育ですら「偏向」という言葉で縛ろうとしている。民主主義の暴走と、テレビや報道の在り方など、大きな問題を提起している作品である。意識の高い人、必見!
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