2004年に実際におきたジョージ・ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を巡る誤報（ということで決着した）事件を映画化。
テレビ・ジャーナリズムは如何にして過ちを犯すのか。ドラマは、まずはこうしたテーマを正面切って扱いつつ、その向こうに、政治権力によるジャーナリズムへの圧力というテーマを浮かび上がらせる。そして、原作者は当然として、制作者が主に扱わんとするテーマは後者である。だが、鑑賞者がどちらのテーマをより強く受け止めるかは、その人の興味関心や問題意識や願望によってまちまちだろう。それ次第で、自分たちのスクープが偽造証拠をつかまされた誤報だったとバッシングを受けるロバート・レッドフォードやケイト・ブランシェットの見え方も違ってくるだろう。
という具合に、受け取り方が観る人によって２つに分かれる作品だと思う。だが、どちらの受け取り方をしたにせよ、両テーマとも我が国においては全く他人事ではない。同じく全く他人事では無かった「帰ってきたヒトラー」にせよ本作にせよ、こう立て続けに他人事では無い外国映画を見せられると、世界全体がきな臭い方向に向かっているのではないかという不安が増大する。
