みゅうちょび

アイ・オリジンズのみゅうちょびのネタバレレビュー・内容・結末

アイ・オリジンズ(2014年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

過去鑑賞。

あーーー!大好きなやつでた!

「アナザー・プラネット」の監督さんマイク・ケイヒル作品。

マイケル・ピットは美形だけど、映画によって好きな時と嫌いな時があって、この映画は凄ーく好き。この映画ではプロデュースもやってるんだねー!

瞳の研究を続ける主人公イアン。ハロウィーンの夜、真っ黒な目出し帽にスタッズの黒い革ジャンに黒パンツの女性と出逢う。普段からカメラを持って、人の眼を撮影している彼は、彼女に眼の写真を撮らせてと頼む。気軽にOKされそこに映し出された瞳は特殊な虹彩をもつ瞳だった。お互い衝動的な行動に出るも顔も分からないまま彼女は逃げてしまう。その後も目の進化について研究に没頭しながらも彼女のことを忘れられず…


「アナザー・プラネット」も好きだけど、こちらの方がより身近に起こっていそうなことのような気がして好きだし、ラストもなんだかゾクゾクした。
この監督の作品て、独特な雰囲気がある。

わたしが好きなタイプの映画って、現実と虚構の世界が絶妙な感じで融合していて、今、自分が生きている時の中で、もしかしたらどこかで進行しているかも知れない未知だったものの発見とか、人が自分たち知識や化学だけを信じているところに、その概念を覆す事象が、ただその時を待っていただけかの様に明らかになるとか、そんな作品は大好き。

この監督の作品てまさにそんな感じ。

でも、レビューは支離滅裂です。

主人公が熱烈に恋に落ちたソフィは、前世で彼にあった気がすると説き輪廻転生などスピリチュアルな事象を信じて止まない。一方主人公イアンは科学者で輪廻転生は勿論、神による世界の創造そのものを打ち消し全ては科学的に証明できるのだと言うことを立証しようとしている。神の存在を打ち消したいとまで言う。

眼もなく光を感知しない生き物を地球上の膨大な数の生物の中から探し出し、その生き物が眼を持つ様に操作する。光を知らない生物が眼を持ったら…

イアンは科学者だから、自分の立証したい事が実現して喜ぶのが性なのかもしれないのだけれど、彼は人間一人一人が異なった瞳の虹彩を持つ事に神秘を感じていたのは間違いないと思う。その神秘を作り出している科学に魅力を感じていて人間の技でその神秘を創り出せるのだと証明したいと言うわけなのか…

科学者にとっては、偶然もあり得ない。

彼がソフィと再会を果たす時、セブンイレブンの支払い額やレジ打ちされた時間の合致も彼にとっては必然であって偶然ではないはず。だからこそ彼は、その必然に注目して何かが起こる予兆と捉えた。

そしてソフィを見つけた。

凡人のわたしには科学者の脳の中は解らないけれど、神の存在も特に信じているわけでもないので、計り知れない宇宙の神秘も科学的に解明できるものなのだろうなと漠然と思ってる。

けれど、その神秘は全てが解明できない限り常に科学とは表裏一体。相反する様でいて、どちらも不可欠。其々の存在価値を互いに高め合っている。原子の時代、人々は神秘を神秘とは捉えていなかったはず。彼らにとってそれらは、ただそこにある事実にしか過ぎなかったはず。

だから、わたしは思う。神の技と思われる神秘的な事象は、人間が科学的な概念を持つ様になって生まれたもので、解明できない事象に遭遇した時、科学者ほど身近に強くその神秘に驚愕するんだろうな。分からんが…

全く価値観の違うイアンとソフィが熱烈に惹かれ合う理由もそこにあるのかなと感じる。ケミストリー(化学反応)ってやつよ!

虹彩認証ができる様になり、例え同じ遺伝子を持つ双子であっても、同一の虹彩は持たないと信じられてきた事が覆る時、イアンの悲劇による深い罪の意識が無かったら、あの結末は違ったものになっていたよね。

ラストでイアンが見たものは、何も科学的に立証されたものではない。イアンはあの少女の中に見たものは間違いなくソフィであって、それは彼の心に差した小さな奇跡の光なのではないかな。

魂は瞳に宿る。

このストーリーそのものが好きだなー。

少女とホテルの階段を降りるイアン。

そこに流れるレディオヘッド の曲。トム・ヨークの優しく染み入る様な声が涙を誘う。


あの少女がエレベーターを怖がったのか?それともインドで貧しい彼女がイアンの意に添えなかったと感じてエレベーターに乗る(イアンと別れる)のを嫌がっただけなのか?

でも、イアンの心の中には絶対少女がソフィの生まれ変わりだと言う確信が芽生えたのは間違い。
それは、データだけでは説明できない、彼にしか感じ取ることのできない光なんだよね。
みゅうちょび

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