Omizu

恋愛手帖のOmizuのレビュー・感想・評価

恋愛手帖(1940年製作の映画)
3.4
【第13回アカデミー賞 主演女優賞受賞】
フレッド・アステアとのコンビで知られるジンジャー・ロジャースがストレートプレイで主演女優賞を受賞した作品。監督は『打撃王』『チップス先生さようなら』のサム・ウッド。脚本は『ローマの休日』『スパルタカス』などのダルトン・トランボ。

ある時点から過去を振り返る形式の変則的なメロドラマで、趣向を凝らした演出や周到に伏線を張り巡らせた脚本(ダルトン・トランボ)はなかなか上手い。

ジンジャー・ロジャースも貧乏、というほどではないと思うけど上流階級の舞踏会には行けないような中流のよくいる女性を上手く演じていると思う。さすがミュージカル女優なだけあって表情がコロコロ変わる多彩さが楽しい。

酒や指輪など小道具を使った演出はなかなかいいし、話も捻りがあって面白かった。

当時のヘイズ・コードぎりぎりを攻める脚本が流石。女性の自立と、終盤キティが言うシングルマザーとしての覚悟は当時としてはよくやってる方なのでは。まあやはり子どもは残念なことになってしまうのだけど、秘めた闘志を感じていいシーンだった。

ただやはり当時は仕方ないけど、二人がセックスしたようなシーンも描写もないのにいきなり赤ちゃんというのは唐突に感じたし、ラストはやはり世間的に「正しい」方を選択するのね、と興ざめしてしまった。

まあでもジンジャー・ロジャースって普通の演技も上手い人だったんだなぁって思うし普通にめちゃ美人だなって思った。主演女優賞も納得。
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