しゃりあ

劇場版 稲川怪談 かたりべのしゃりあのレビュー・感想・評価

劇場版 稲川怪談 かたりべ(2014年製作の映画)
2.4
2017/08/18

めっちゃゴミ映画だったけど、稲川淳二がアイドルに石で殴られているところは声を出して笑った 最高
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テレビでもよくある企画のひとつに、肝試しがある。
曰く付きの心霊スポットにて、そこにまつわる怪談を聞き、怪異に遭遇してしまうというのが定番で、だいたいアイドルの女の子の"体当たり演技"が見どころになっている。
それをSF気味に捻った変形映画がこの『かたりべ』だ。

主演は日本の誇る怪談師、稲川淳二と、中堅アイドルの妄想キャリブレーション。
お蔵入りしたパチンコ用映像を元に制作したドキュメンタリーという体。白石晃士がスマッシュヒットをかました波に乗ろうとしたのは分かるが、なんともイマイチな出来の作品だ。
しかし"無の低予算アイドル出演POVモキュメンタリー"とは一線を画す。クソだがギリ観る価値はあるはずだ。

もちろん話は地獄。メインで語られた怪談もそんなに面白くないので5秒で忘れるし、構造が後追いのため没入して妄キャリと一緒になって怖がれない。ロケ地も超有名な旧粟野中学校だし、突っ込みどころは満載。
肝心の怪奇現象もほとんど「『コワすぎ FILE-04』で観たよこれ」と言いたくなる展開で、手ブレもかなりキツい。
その上、ホラー三重苦の「女がうるさい」「CGが安っぽい」「話がよくわからない」を見事にコンプしている。

だが、稲川淳二なのだ。

ファーストカットから咳してるし、頭にガーゼしてて心配。
妄キャリとも和気藹々と現場回してたのに、「稲川さんについてですか? 特に言いたいことはないです」とか言われて可哀想。
稲川さん、怪談って面白いよね。封印したって話、『生き人形』のことだよね。
怪談が大好きな稲川さんなら、自分の創作が現実化したら楽しいよね。ほら、目がイッてるよ。笑っちゃってるよ。
安心して、稲川さん! ボカッ‼︎
妄キャリが稲川の頭部をデカい岩でブン殴る。
雄叫ぶ稲川!
「私を再起不能にしてくれ‼︎ 半殺しでもいい‼︎」

クソッ! これじゃあ、もう体当たり演技してんの、妄キャリじゃねぇじゃん!

最後まで観たあなたにとって、残された「なぜ2-4のプレートが消えていたのか」とかいう謎は心底どうでもいいはずだ。

真のアイドルとは、稲川淳二、その人なのだ。
ただそれだけを強烈に刻み付けられて欲しい。

ちなみに同監督作品で『鬼談百景』収録の「赤い女」は普通に恐い。必見。