愛することは生きること、即ちそれは死を意味する。
美しく繊細に男女の愛を描くフィリップ・ガレルは、光と影を情緒的に揺れ動く人間の脆さを上手に表現する。
飾らない男女の日常を自然体に描写するモノクロ映像の美しさは、フィリップ・ガレルのミニマリズムの真髄が心地良く堪能できる。
個人的には映像描写も然る事ながら耳を弄る様々な〈音〉に強い印象が残る。
舗装されたコンクリートをカツカツと小気味良く響かせる靴音や、アパートの床板を歩くシャリシャリと靴に着いた囁く様な砂音や、公園のベンチで殻付きピーナッツをムシムシと剝く音…。
様々な感情がある中で嫉妬ほど苦しいものはないが、それは真に愛するからこそ生まれる感情。
それは人間の感情の中で最も複雑で最も美しく最も残酷、それが愛。
大切な人を愛せなければ、愛されることは決してない。
しかし愛したからと言って、必ずしも愛される訳でもない。
愛することに理屈はない..★,