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聖者たちの食卓のTomのレビュー・感想・評価

聖者たちの食卓(2011年製作の映画)
4.6
 シク教聖地の総本山ハリマンディル・サーヒブ(ゴールデン・テンプル)。そこには、信者でもそうでなくても、どんな身分の人にも食事を振る舞う無料の食堂がある。調理(調理はもちろん玉ねぎ切りやチャパティをこねる、焼く、米を洗う、炊く)や掃除、皿洗い、全てがボランティアで営まれている。集まった人々が、できることを少しずつ行い、1日10万人分ともいわれる食事を提供する。
 インドをイメージするカオスな場ではなく、手際良く、効率的に、そして、すがすがしい精神で、食事がつくられ、供される。ステンレスの皿や大鍋は、丁寧に洗われ、磨かれる。大理石の床は丁寧に水拭きされる。
 シク教は、もともと反カーストの宗教。どんな立場の人間も、同じ場で同じ食事をする。それは人間だけでなく神様も同じ。その精神性が染み込んだ食堂には、人々の笑顔と感謝が満ちあふれる。
 以前、インドのジャイプールでシク教の結婚式に招かれた。2週間ほどの期間中、毎日、なにかと儀式があり、その度に食事が振る舞われ、夜はパーティ。食事の場をとても大切にしていた。この映画を見て、新郎新婦やその家族のマインドを思い出すことができた。
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