猫マッチョ

ブロンズ! 私の銅メダル人生の猫マッチョのレビュー・感想・評価

5.0
2021年度お気に入り名作映画

警告※この感想には女性差別の表現が含まれているため不快や嫌悪感を感じる可能性がある人は読むことにご配慮いただきたい。


女は読んでないので過激に書くが、この映画のレビューでは【人から頼まれていないのに】自らのセックス体験談を語る女が多いから今日のおかずにはもってこいなレビューがある。映画のセックスシーンは印象的だが、それに感化されて自らのセックス体験談を語る痴女の多さたるや驚愕である。

この映画のセックスの場面はネトラレを含んだエンジョイ+パワーSEXであるのが特徴である。この映画の反対に位置しているのがレディースコミックスのセックスだ。
『二人の身体が一つになって宇宙になる。』『とろけちゃう。』『俺様の両手で包みこんでやる。』などのやわらかいSEXが柔のセックスだとしたら、
『気持ち良いから棒を穴に突っ込むんだ。』『真っすぐ突いてぶっとばす 俺のウルバン砲でぶっとばす』『お前の身体を引き裂いて、食い千切ってやる。』のが剛のセックスである。そしてこの映画は剛のセックスだ。

ファンタジーの男向けエロ漫画や夢見るアダルトビデオとは違う、アメリカンセックスがこの映画にはある。自分の身体能力の全てを使って快楽に呆ける。スポーツで体を鍛えるのは名誉と金と性の快感があるからだ、とスポーツを美談として語りたい日本人には掴めない認識であるが、羨望や嫉妬を抜きにしても当たり前な人間らしい感覚だと思う。
つまり、スポーツ選手の金と性の貪欲さをこの映画では皮肉っているのである。


金メダルより価値がある銅メダルを手にして、この物語は始まるのであるが、映画の中心核に存在するのは保身による金と名誉、そして少々の性の快楽である。スポーツ選手にとってある分野のマウント合戦の勝者となったが、いずれ追い越される運命であって、最大級の名誉に依存してしまっている。専門家に一般常識で勝負してもマウントが無意味であるように、卓越した名声とプライドは自分の誇れる盾となる。

だが、一瞬の頂点の後も人生は続くので一般常識を無視出来なくなる。そして、日常が積み重なると自分の誇れる盾が地に落ちて泥となって、自分の足元で足枷となってしまうのである。


また、この映画の素晴らしさは脚本がセックスしてた女の主人公とその旦那が書いているのだ。うっひょー痴女だ!とは思わないが、女性側からセックスの場面をコメディとして脚本に書けるのは、自らの性への客観性も他者に対する理解も必要である。自らの性体験に蓋をする、ご都合主義の女では出来ない芸当である。

私は常にクールで男がホットになってサカリのついた犬のようにしているから受け入れてセックスする。
だからと言ってセックスしている事実が消える訳でも無いし、ヤリ捨てや男との騙し合いで選んだ自分が正当化される訳でもない。全ての性体験を受け入れて冷静に書けるメリッサ・ローチは偉大な女性だ。


でも、優男の立場が全然無くて、女性を受け止めるしか出来ない男の末路が悲惨なのも皮肉なものだ。
猫マッチョ

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