似太郎

沈黙ーサイレンスーの似太郎のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.8
【牢獄】

過去に篠田正浩も映画化してるやつだが、遠藤周作の原作『沈黙』ってそんなに面白いか?。どうも大した小説のように思えないのだが。🤷‍♂️

かなり昔図書館で読んだのだが、主人公が酷い目に遭ってウジウジ葛藤してるだけの内省文学みたいで堅苦しかったなぁ〜。これならまだドストエフスキーの『罪と罰』の方がマシだわな。

スコセッシによる宗教三部作の完結編。(まだ懲りずに『イエスの生涯』撮るつもりらしいが)。主演のアンドリュー・ガーフィールドの演技が良く、日本人キャストに引けを取らない品格がある。他には塚本晋也演じる隠れキリシタンのモキチもいい。(中盤であっさり処刑される)

キチジロー役の窪塚洋介は酷い。全くキャラクターの心情が掴めていない。あいつさえいなけりゃスコア5.0点は献上できたのに。他の加瀬亮、小松菜奈は及第点。

ロドリゴ・プリエトの絵画的な撮影と独創的な美術&歴史考証が素晴らしく、数あるスコセッシ作品の中でも老成したアートっぽい異色作である。アメリカでは低評価のようだが、まあそれも無理はなかろう。狂った日本システム🇯🇵の色濃いストーリーで宗教的要素よりそっちの方が勝っているからなぁ。

結果的に遠藤周作の原作小説よりも遥かに面白い、壮大な宗教映画となった。スコセッシ作品というよりもアレクサンドル・ソクーロフみたいな静謐な印象の強い一貫してダウナーな雰囲気の作品に仕上がっている。
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