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沈黙ーサイレンスーのmovieJackのレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.8
音楽が殆どなく
自然豊かな景色と
波や風雨と虫の音等を効果的に使い
淡々とではあるが
宗教を題材とし人間の本質部分
強さと弱さについて描かれた物語

以前から
韓国映画(シークレット・サンシャイン等)ではキリスト教
その信仰や神の存在に関する矛盾
信者の葛藤等について描かれた作品を観たが
信仰が根付いた異国の話というイメージと
また無宗教の私には余り実感が沸かなかった記憶がある…

しかし今作は

1.日本国としての鎖国政策を前提にキリスト教の根絶目的とした迫害を行う者
奉行=イッセー尾形
通訳=浅野忠信

2.信仰を捨てさせる棄教を迫られ
自身や民衆への拷問や虐殺が見せしめ的に繰り返され
肉体的・精神的に追い込まれ
信仰心と現実の狭間で葛藤し苦悩する宣教師
アンドリュー・ガーフィールド
リーアム・ニーソン
アダム・ドライバー

3.差別的に最下層で泥まみれの農民の
生き地獄的な境遇に
藁をも掴む思いで信仰に身を捧げ
迫害されながら
貫いて死を選ぶ者
信仰を捨て生き永らえる者
信仰を捨てたように見せかける者
全ての民の苦しみを
塚本晋也
窪塚洋介による鬼気迫る熱演

この3者それぞれの立場
境遇や想いが交錯するが
歴史的事実を知らない私でも納得できる程に
弾圧する役人が絶対悪とは感じず
日本人の国民性
精神と気質が良くも悪くも素晴らしく
邦画と勘違いするほどに丁寧に描かれており
キリスト教に関係する作品では初めて現実的に実感できる世界観と
現在の日本に繋がる歴史が感じられた

キチジロー(窪塚洋介)的にその場しのぎで生きている
無神論者の私には幼稚なレビューしか思い付かず
下書きを入力しては削除を繰り返し
レビュー保存が躊躇されるほど重厚な作品であった…
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